アメリカ、テキサス州に住むクリスティンとダコタ・ボーデン夫妻は、2020年、コロナウイルスの脅威だけでなく、別の過酷な闘いを経験しました。 すべては3月に3歳の娘ルラが激しい腹痛を起こした時に始まりました。
ルラの激痛の原因を探るため、クリスティンとダコタは、医師から医師へと駆け回ります。答えを必死に求め、色々な病院を回って得た結論は、悪夢のような宣告でした。小さなルラの腎臓に大きな腫瘍があることが分かったのです。ステージ2のウィルムス腫瘍で、小児期に発生することが多い腎臓がんです。
「医師の言葉を聞いた時の感情は今もありありと思い出せます」 と、母親のクリスティンは自身のFacebookページで書いています。「混乱。胸が張り裂けるような痛み。深い悲しみ。拒絶。ショック。恐怖、しびれ。完全に麻痺したような感覚でした。娘が癌のはずがない。どういう意味なの?間に合うの?と」
3歳のルラはすぐに5時間の長い手術を受け、腫瘍は摘出、予後も良好でした。しかし、その後、22週間もの間、化学療法が必要と言われ、クリスティンとダコダは無力感に襲われたと言います。
しかし、ルラは強い意志の力を見せます。クリスティンが、ルラの長いブロンドの髪が化学療法ですぐに抜け落ちてしまうこと、そして予防のために髪をすべて剃らなければならないかもしれないとルラに話すと、3歳の少女は「じゃあ、すぐにやろう!」と答えたのです。
でも、ルラはその苦行に一人で立ち向かう必要はありませんでした。6歳になる兄のコーエンは、自分も妹のように髪を剃ることを決め、しかも妹に剃ってもらうことにしたのです。
写真家として働くクリスティンは、カメラで二人の感動的な瞬間をとらえています。優しく思いやりにあふれたお兄ちゃん。その髪を剃り終えたルラはそっと兄の頭にキスしました。
4歳になったルラは化学療法を無事に完了し、2020年8月に彼女の身体にもう癌はないことが確認されました。
小さなルラの闘病は家族全員にとって辛いものでしたが、同時に家族の絆を親密にしました。「娘はとても勇敢で、とても強く、どんなことにもへこたれません」とクリスティンは言います。「私に本当に大切なことを教えてくれました」
家族の愛情に支えられ、健康を取り戻しつつあるルラ。そして、妹想いの優しいコーエン。そして家族の試練をともに乗り越えたクリスティとダコタ。家族の温かな絆に心が温まります。2人の兄妹がこれからも健やかに成長しますように!